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本当は高校のときだが…昔と言えば最近じゃないと大絹さんが安心すると思い嘘をついた。
「で。さっそくなんだが…」
「はい!」
「書類の整理手伝ってくんねぇか?ιかなり押し付けられてよぉ…」
「は、はぁ…ι」
辺りを見回せば、気のせいか職場にいる人数が減っている気がした。
「いや~。助かる、助かる!この分だと早く終わりそうだな!」
「はい…そうですねι」
職場には大絹さんと俺しかいなくなってしまった…。
皆、受け持ちの事件を片付けるために出かけたのだと思う。
最初の仕事はやっぱり事件解決!って思ってたのになぁ…
解決した事件等の書類を整理してファイリングしていく。
山積みにされた書類も大分片付いてきた。
「大絹さんは…担当してる事件とかないんですか?」
ふと思いついた疑問を口にする。
ただ、何気なく思っただけ…
だが、パソコンを打っていた大絹さんの手が止まる。
「あ…お、大絹…さん?ι」
やべっιまずいこと聞いたかな?
大絹さんの顔を覗き込もうとすれば、大絹さんが口を開く。
「そう…だな。無いこともない…。」
「あ、あの…」
その横顔はどこか悲しげで…
俺は何て言えばいいか分からなかった…
「ま!色々あるぞ!不良共を補導したり、万引きしようとした奴を取り押さえたりだなぁ…」
「あ…ははιたくさんありますねι」
まだやってたんだ…ι
苦笑いしながら自分の苦い過去を思い出す。
「だろ!やること一杯あって俺もてんてこまい。ま、それに事件ばかりが刑事の仕事じゃない。こういうのも刑事の仕事にとって大切なことなんだ。自分の教訓のためにもどんなことがあったのか、反省すべきところはなんなのか見つけるためにもな。」
「大絹さん…。そう…ですね。なんだか俺やる気でてきました!」
「その息だ!」
大絹さんの言葉にやる気がでてきて、止まっていた作業を進める。
そうだよな。事件ばかりが刑事の仕事じゃないもんな。
大絹さんの言葉に改めて仕事をやることの大切さが分かった。
やっぱり大絹さんは尊敬できる人だ!
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