番外編:新米刑事の受難シリーズ①

10/25
前へ
/911ページ
次へ
本当は高校のときだが…昔と言えば最近じゃないと大絹さんが安心すると思い嘘をついた。 「で。さっそくなんだが…」 「はい!」 「書類の整理手伝ってくんねぇか?ιかなり押し付けられてよぉ…」 「は、はぁ…ι」 辺りを見回せば、気のせいか職場にいる人数が減っている気がした。 「いや~。助かる、助かる!この分だと早く終わりそうだな!」 「はい…そうですねι」 職場には大絹さんと俺しかいなくなってしまった…。 皆、受け持ちの事件を片付けるために出かけたのだと思う。 最初の仕事はやっぱり事件解決!って思ってたのになぁ… 解決した事件等の書類を整理してファイリングしていく。 山積みにされた書類も大分片付いてきた。 「大絹さんは…担当してる事件とかないんですか?」 ふと思いついた疑問を口にする。 ただ、何気なく思っただけ… だが、パソコンを打っていた大絹さんの手が止まる。 「あ…お、大絹…さん?ι」 やべっιまずいこと聞いたかな? 大絹さんの顔を覗き込もうとすれば、大絹さんが口を開く。 「そう…だな。無いこともない…。」 「あ、あの…」 その横顔はどこか悲しげで… 俺は何て言えばいいか分からなかった… 「ま!色々あるぞ!不良共を補導したり、万引きしようとした奴を取り押さえたりだなぁ…」 「あ…ははιたくさんありますねι」 まだやってたんだ…ι 苦笑いしながら自分の苦い過去を思い出す。 「だろ!やること一杯あって俺もてんてこまい。ま、それに事件ばかりが刑事の仕事じゃない。こういうのも刑事の仕事にとって大切なことなんだ。自分の教訓のためにもどんなことがあったのか、反省すべきところはなんなのか見つけるためにもな。」 「大絹さん…。そう…ですね。なんだか俺やる気でてきました!」 「その息だ!」 大絹さんの言葉にやる気がでてきて、止まっていた作業を進める。 そうだよな。事件ばかりが刑事の仕事じゃないもんな。 大絹さんの言葉に改めて仕事をやることの大切さが分かった。 やっぱり大絹さんは尊敬できる人だ!
/911ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2543人が本棚に入れています
本棚に追加