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「よーし。終わったな!」
「はい!終わりましたね!」
二人共に伸びをする。
山積みにされた書類が片付いたのは夜も遅い頃だった。
「でも、書類も簡単に片付きましたね。分かりやすくまとめられてて…」
「あぁ。俺達の前に書類を整理してくれる奴がいるんだが…。そのうち澤枝にも分かるときがくる。」
「は、はぁ…」
何かを見守っているかのような大絹さんの暖かい表情に何と答えていいか分からない…
「それより!」
「は、はい!ι」
いきなり大声を出す大絹さんに驚いてビクッと肩が上がれば、気さくに笑う大絹さんの顔が見えた。
「はは。んなに驚くなよ。この後予定あるか?」
「え…?とくには…」
「そっか。なら、良かった。」
そう言ったかと思えば、俺の腕を引っ張る大絹さん。
よろけながらも立ち上がれば、気さくな笑顔で…
「飲みに行こう。俺が奢るから。」
と言われた。
「え…?そんな…いいです!俺払いますから!」
「いいから、いいから。」
結局、居酒屋に引っ張られたあげく疲れもあったのか酔いつぶれてしまって大絹さんが奢る形になってしまった…。
ふ、不覚だ…ι
2日酔いで頭痛がする頭を抑えながら昨日のことを悔やむ。
酔いつぶれた俺を家まで連れてって、寝かしつけるまで大絹さんは一緒にいてくれた。
実家じゃなくて、アパートに住んでる。
大絹さんに教えてないはずなのに、なんで分かったんだろ…?
とにもかくにも大絹さんに面倒をかけたのには違いない。
「おい。澤枝!大絹はまだか!!」
「は、はひぃ!?」
課長のバカでかい声に椅子から立ち上がれば、こめかみに青筋を立てている課長の姿が目に入る。
時計を見れば、出社時間を当に二時間も過ぎていた…
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