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「えーっと、今来ると思いますよ…ι」
苦笑いして誤魔化せば、更に課長の額に青筋が増える。
「来ると思うじゃない!探してこい!」
「は、はい!!ι」
課長の怒鳴り声に驚いて探しに行くため走っていけば、廊下に出てすぐ誰かにぶつかる。
「おーっと。澤枝か。大丈夫か?」
「え…?あ…」
ぶつかった俺を片手で優しく抱きとめてくれた人物を見れば、今探しに行こうとしていた大絹さんだった。
抱きとめられてるせいか、いつもより間近で見る大絹さんの優しい笑顔に思わず胸が高鳴る。
「ん?なんか顔が赤いな?」
「え?あ…//な、なんでもありません!」
「そうか…。それより急いでどうした?」
「あ…あの…」
課長が怒っていることを伝える。
「あちゃー。そんなに遅刻してたか。」
「ど…どうしましょう…?」
「心配すんな。」
戸惑う俺の頭を優しく撫で、大絹さんは課長がいる仕事場へ入って行く。
案の定、耳を塞ぐぐらいバカでかい課長の声が響きわたる。
「ほんっとにお前は!!何回遅刻すれば気が済むんだ!」
「はいはい。」
「適当な返事をするな!!」
課長が怒っていても大絹さんは呆れた表情で課長の説教をくらっていた。
俺はただそんな二人のやりとりをオロオロしながら見守ることしかできなくて…。
30分くらいで説教は終わった。
「もう、いい。仕事に戻れ。」
「はい。以後気をつけます。」
「そんな言葉何回聞いたか…」
またやるくせにとブツブツ課長が文句を言ってる中、大絹さんは平然とした表情で自分の仕事机に向かうと椅子に腰掛ける。
「あ、あの…大絹さん…」
「んあ?」
「だ、大丈夫ですか…?」
説教が終わった後で、こんなこと聞くのも大絹さんに嫌な思いをさせるだけかもしれない…。
でも、大絹さんが心配でならなかった。
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