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大絹さんの協力をする!って意気込んだのは良いものの…
「はいはーい。そこのお兄さん。万引きはいけませんな。」
「な、んだよ!離せよ!」
「詳しくは事務所で聞こうなー」
大絹さんと気弱そうな学生が話しているのを見かけてから数日が経った。
気弱そうな学生の顔や容姿はちゃんと記憶に鮮明に残ってるからすぐ見つけられると思ったんだけどなぁ…
「はぁ…」
なかなか見つけられず、今日も万引きする奴を見つけて連行している。
ここ数日何回補導と万引きした奴らを捕まえたか…。
大絹さんに言えないが自分も刑事になってから大絹さんみたいに何回か補導したりしていた…。
でも、ここ数日その学生を見つけるためか、万引き犯を捕まえたり、補導したり何回…いや、何十回したことか…
早く少年を見つけたい…
万引き犯の件も一件落着し、ため息をはきながら近くのコンビニに立ち寄る。
「なんか、お菓子でも買って…」
大絹さんと食べようかな…
そう考えていたとき、目の前にお菓子を掴んで袋に入れる人を見つけた。
「何してるの?」
顔も見ずそう言えば、ごめんなさいと謝られる。
ふと顔を上げれば、見間違えるはずがない。
大絹さんと話していた気弱な学生がそこにいた。
「あー!!!」
「いや~。探した、探した。」
「は、はぁ…ι」
店には出てないうちだったので、注意だけということにした。
万引き犯になる前に止めて良かった…!
「あ、あの…ありがとうございます。その…万引き止めてくれて…」
「え…?いや…当然のことだよ。それよりなんで万引きなんか…」
「……………」
「どうしたの?」
顔をうつむかせてしまった学生の顔を覗き込もうとすれば、勢いよく顔を上げた学生の顔は涙で濡れていた…。
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