2543人が本棚に入れています
本棚に追加
「た、助けて下さい!」
「え!?ちょ…な…なに…」
勢い良く抱きついてきた学生の言葉に混乱して何を言えばいいのかそれよりも状況が掴めず、学生の体を離すと顔を合わせる。
「何か困ったことでもあるの?遠慮なく言って。俺でよければ力になるから…」
「あ…ありがとうございます!実は俺…いじめられてて…。」
「え…?」
肩を震わせる学生に一瞬言葉を失う。
「な…んで…?」
「あ…。すみません、こんな話し…。迷惑ですよね…。あいつらのいいなりにならなきゃ…俺…。今日だって…万引きしなきゃ殴られる…って…」
「なんだって…」
「すみません…こんな話し。もうしませんから。」
立ち上がって立ち去ろうとする少年の腕を掴む。
「ま、待って!君の名前教えて!」
「え…?」
「俺が力になるから!」
「最近なんかお前楽しそうだな?」
「そうか?」
廊下で資料を倉庫に戻そうと廊下を歩いていると、後ろから渡辺に声をかけられた。
そんなに楽しそうな顔してたか?
「なんかいいことあったのかよー?」
「別に。」
曖昧な返事を返した後、突っ込まれない内に別の話しに変える。
渡辺にもましてや大絹さんにも話せない秘密の話し。
あの学生と出会ってから、学生の悩みを一緒に解決している。
学生の名前は、佐藤健太君でここでは有名な私立高校に通っている。
その健太君がいじめを受けていて、俺はできる限り健太君を守っている。
放課後、健太君が帰る時間いじめてる奴が現れれば軽く突き飛ばして健太君を引っ張り走り去っていく。
学校でも少しずついじめも無くなってきているみたいで安心している。
ま、俺が上手くやり返す術やアドバイスしているからな。
なんて、自己満足かもしれないけど困っている人はやっぱり放っておけない。
もしかしたら、大絹さんも優しいから気にかけていたのかもしれない。
そう思うと大絹さんの役に立てたようで嬉しかった。
最初のコメントを投稿しよう!