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「あれ…?」
仕事場に入れば、大絹が机に突っ伏して眠っていた。
行く途中、仕事場から電気がついているのは見えてたから分かってたけど…
まさか大絹さんがいたなんて…
「大絹さん。風邪引きますよー。」
今日の分の仕事は終わっているはずなのになと心の中で疑問に思うも、大絹を起こしにかかる。
こんなところで寝ていては風邪を引いてしまう…
たまたま…と言っても本当に自分が書類取りに戻ってきて正解だったと思う。
「大絹さん!起きて下さい!大絹さん!」
「んー…」
無精髭を生やしてオヤジくささを醸し出しているようで意外に大絹の顔は男らしくふと見せる表情が格好いいと澤枝は常日頃思っていた。
今も眠っている姿がどこか格好よく整っていて思わず見とれてしまいそうになる。
「大絹さん…」
眠っている今なら少しだけ触っても…
スッと頬に手を伸ばそうとすれば、大絹の目が開いた。
「あ…」
「ん…。さわ…えだ…?」
「い、いや…あの…これは…」
「んー?なんだ?なにが…ふわあぁー…」
思わず手を引っ込めて慌てて訂正すれば、大して気にしていないのか気づいてないのか目をこすりながら大絹は起き上がると大きなあくびを一つした。
「いえ…。あ。それより大絹さんどうして残っていたんですか?今日の仕事終わったはずなのに…」
「いや…あー。ちょっと間違えてたところがあったからな。自分で直していたんだ。」
「そう…なんですか…」
あれ?二人で間違えがないか確認したはずなんだけどな…
若干の違和感を感じたがあえて気にしないことにしよう。
「それより、お前はどうしたんだ?」
「あ…。書類を忘れてまして。取りに戻ったら大絹さんが寝てたんですよ。」
「そうか…。起こしてくれてありがとな。」
「いーえ。」
それじゃあと帰ろうとすれば、大絹さんに手を掴まれた。
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