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「よく…分かり…ません…」
好きと聞かれて今の自分が大絹さんに対して持っている気持ちがなんなのか分からなかった。
大絹さんのことは好き。
でも、それは憧れなのか違う意味なのか自分でもよく分からない。
大絹さんと仕事をしているのは楽しい。
大絹さんの笑顔が好き。
たまに見せる真剣な表情も。
さっき、俺が見たことない大絹さんの笑顔を浩志君達に見せていたときは言葉に現せないほどモヤモヤして…なんかイラついていた。
でも、俺はそれがどういう気持ちなのか分からない。
「あ…なんかすみません…ι俺、澤枝さんてっきり大絹さんのこと好きなんじゃないかって思ったから…」
「いえ。」
「それに大絹さんも…あι」
「大絹さんも?なんですか?」
浩志君の言葉が気になって聞き返せば苦笑いされる。
「な、なんでもないιあ。そろそろ持っていかなきゃね。」
なんか上手くはぐらかされた感があるけど…
確かに浩志君の言う通り持っていかないと大絹さん達の会話も終わってしまう…。
浩志君に手伝ってもらって大絹さんの元にお茶を運んでいく。
「お待たせしました~。どうぞ、お茶を。あ、紅茶でもいいですが…」
「ありがとうございます。私は紅茶がいいですね。」
遥さんが申し出るな否や紅茶を自分で入れる。
他に紅茶がいい人はいないみたいでお茶を置いていく。
と、大絹さんの前にお茶を置くなりいきなり腕を掴まれる。
「うわぁ!?」
いきなりのことで驚いて危うく置いたお茶をひっくり返しそうになる。
間一髪で抑えたからこぼれず済んだけど…
「お、驚いじゃないですか…ιいきなり何するんですかι」
離して下さいと言うも、大絹さんは離してくれそうにない…。
恐いくらいの真剣な表情にゾクッと背筋が震える。
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