新米刑事の受難シリーズ②

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「どーしよ…」 明日も明後日も気まずい空気のままなのかと思うと気が重くなる…。 いや、原因を作ってしまったのは自分なのだが… どうにかして仲直りできないものかと頭を悩ませる。 と、目の前にリンゴが転がってきて靴の爪先に当たって止まる。 「これ…」 「ごめんなさぁーい。今拾いますからぁー」 向こうから女の人の声が聞こえ、顔を上げれば車椅子をこぎながらこちらに向かってくる若い女の人が目に映った。 「あ…いいですι拾いますから…って…」 拾おうとしてしゃがんだ瞬間、横から手が伸びてリンゴを拾われた。 「すみません…。母が迷惑をかけてしまって…」 「え?いえ…」 高校生くらいの男の子はそう言うとリンゴを手に持っていた紙袋に戻す。 母…ってことは向こうの若い人が、お…お母さんなのか!? 胸あたりまで伸びた髪の毛に緩くカールがかかっていて、皺一つない白く美しい顔立ちに眩しいくらいの優しい笑顔… どう見ても、20代後半の女性にしか見えないのに…こんなに大きい息子さんがいるなんて!? 驚いて言葉を失っていると、服の裾を控えめに引かれる。 視線を向ければ、男の子のお母さんが優しい笑顔を見せ、頭を下げる。 「ありがとうございました。私がドジをしてしまって…」 「あ…い、いえ…。別に構いませんよ。気にしないで下さい。」 「ありがとう。」 「さ、お母さん。帰るよ。風邪引いたら大変だ。」 いつの間にか母親の車椅子の後ろに回っていた男の子が母親に笑顔を向け る。 その光景は微笑ましくて見てるこっちも気持ちが優しくなってくる。 ありがとうございますと男の子もお礼を言うと母親の車椅子を押して帰っていった。 仲良く会話して帰っていく二人の姿は見ていて飽きなくて、寧ろ心が暖まる。 「秋本さん家は本当に仲が良くて羨ましいわぁ~」 いつの間に隣にいたのか買い物袋をさげたおばさんが二人の光景を眺めている。
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