ネウロ*笹葛

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ひっそりと静かな闇に抱かれ眠る都会。 ただ眠るのは穏和な感情のみ。 その闇へ目を向けると汚らしい人の欲望が蠢いている。 だがそんな事はもはや日常で誰も目もくれやしない。 「おー…今日も負けちまったか」 バカらしい事を考えていると二人だけのアパートにたどり着く。 台所の電気がついているのはどちらかが先に帰っている証拠。 この灯りを先につけられるのはこれで連続何回目だろうか…。 やばいこれはやばい。 お仕置きとか言うぞあいつ。 無意識にタバコを取出し噛み付く。 そして深呼吸。 ゆっくり階段を上がっていき扉を開けようとしたら扉が自動で開いた。 否、手動? 目の前には愛しい恋人。 なんだか物凄く不機嫌そうで思わず口元がひくつく。 「お、…お出迎えありがとさん」 なんとか挨拶をしたが不機嫌な恋人は無反応。 これはやばい。 「…ごめんなちゃい?」 口を開きかけた相手の唇に唇を押しつける。 そしてふざけてみた。 次の瞬間胸ぐらを掴まれ視界が回った。床に押し倒されたみたいだ。 どうやらお気に召さなかったらしい。 「…明日」 「へ?」 「明日は迎えろ、な?」 拗ねたようにポツリと呟く笹塚が可愛くて仕方がない。 END
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