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だらだらと時を過ごしていた二人だが、銀時の腹がくぅと鳴ったのを境に食堂へと向かった。久しぶりの良い天気に、盆を持った手は自然と窓際の席へと向かう。食べるのは相変わらずの“宇治銀時丼”と“土方スペシャル”。互いにケチをつけ合いながら食べていると、ばたばたと駆けてくる足音がした。
「土方さん。ちょっと……」
沖田が珍しく真面目な顔をしてやって来る。食堂の隅でひそひそと話をする二人。やがて申し訳なさそうな顔をして土方が戻ってきた。
「銀時、済まねえ。ターミナルに不審な荷物があるようだ。大したことはねえと思うが、念のため行ってくる」
外をぼんやりと眺めていた銀時は軽く頷く。
「ああ、行ってこい。気ぃつけてな」
軽く手を振り、扉に向かう土方を見送り……銀時は残った丼を掻きこむように胃に収める。窓から見える……着替えのために一度、副長室に戻る土方。その隣室の扉……眩しく陽を受けて光る房。その色は……純白。好物の丼の筈なのに、何故か味がしなく……銀時は冷めた茶をがぶ飲みして席を立った。
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