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銀時が……死ぬ―――?
沖田の言葉に土方の背筋は凍る。
「イヤだ……銀時は……死なせねえ……死なせねえ手はいくらでも……」
「見たところ、旦那はものが食えなくなって随分たっているように思いますがね。アンタ、その間何ができたっていうんですかィ?どうせ手をこまねいていたってとこでしょう?」
土方を追い詰める沖田に容赦は無い。確かに“死なせない”だけなら手はあるだろう。しかし、それでは何の意味も無い。……本来、そのことに気づかない土方ではないのだ。
だが。
「コイツは……元攘夷浪士だ……釈放は……」
ガタガタと震える躯。元は、手に入れるために行ったことだ。何故、それが失うことにつながった?混乱する思考。いつの間にか気を失った銀時を抱え、この手に抱き続けるための言い分を今更ながらに口にするしかできない。
「土方さん……」
先に冷静さを取り戻したのは沖田の方だった。呆れたように溜め息をつき、話かける。
「旦那が攘夷浪士と関わってたのは、俺達全員が知ってまさァ……旦那との出会いそれ自体が」
現攘夷浪士の元締めである桂絡みだったわけで。
「桂……」
不快気に眉を顰める土方に最早苦笑するしか無い。この不器用な男は銀時の周囲の人間全てに嫉妬するつもりだろうか。
案外冗談で済まないかもしれない。だがこのまま好きなようにさせるわけにもいかないのだ。
「旦那をどうしても離せねえってんなら……」
沖田の言葉に眼を見開く土方。
やがて。
小さく。本当に小さく。
頷いた―――。
―――――――――――――憧
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