第漆幕【憧】

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「旦那?」 訝しげに問い返す沖田の表情が変わる。重なる絶叫。 「い……やだ!殺すな……!皆を殺さないで……土方ァァッッ!」 より一層蒼褪めた白い肌。怯えた瞳。 「俺はここにいるから!もう逃げねーから!だから……!」 皆を助けて―――! 「錯乱してまさァ……旦那がこんなになるなんて、アンタ一体……!」 怯え、暴れる躯に巻き付く鎖。必死に呼びかける沖田。それでも銀時の叫びは静まらない。 「頼むから……土方ッッ!」 縋りつく銀時を抱きしめ、土方は想う。 銀時は“ここにいる”と言った。 なのに何故……。 気持ちが晴れない? 一度は去った暗雲が再び心を覆う。 必死に自分に縋りつく銀時。 最早“コレ”は自分のモノだ。 それなのに―――! 嗚呼、沖田の声がする。 「土方さん、アンタそれで満足なんですかィ?」 そんな脱け殻のような旦那を手に入れて……本当に、満足なんですかィ……?
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