544人が本棚に入れています
本棚に追加
「旦那?」
訝しげに問い返す沖田の表情が変わる。重なる絶叫。
「い……やだ!殺すな……!皆を殺さないで……土方ァァッッ!」
より一層蒼褪めた白い肌。怯えた瞳。
「俺はここにいるから!もう逃げねーから!だから……!」
皆を助けて―――!
「錯乱してまさァ……旦那がこんなになるなんて、アンタ一体……!」
怯え、暴れる躯に巻き付く鎖。必死に呼びかける沖田。それでも銀時の叫びは静まらない。
「頼むから……土方ッッ!」
縋りつく銀時を抱きしめ、土方は想う。
銀時は“ここにいる”と言った。
なのに何故……。
気持ちが晴れない?
一度は去った暗雲が再び心を覆う。
必死に自分に縋りつく銀時。
最早“コレ”は自分のモノだ。
それなのに―――!
嗚呼、沖田の声がする。
「土方さん、アンタそれで満足なんですかィ?」
そんな脱け殻のような旦那を手に入れて……本当に、満足なんですかィ……?
最初のコメントを投稿しよう!