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まだ余韻の残る体を起こし、乱れた衣服に手を掛ける。
嗅ぎ慣れない香水の香りに混じって、煙草の香り。
誘われるように視線を向ければ、さっき私の上に跨っていた男が服も着ずに煙草を吸っていた。
間接照明の柔らかい光が、その横顔を照らす。
思わず息を呑んだ。
余りに綺麗で。
―――ねぇ
どうして私だったの?
声には出さず、問いかける。
その瞳は伏せられているから、私の視線には気付かない。
だけど、それでいい。
今はまだ、夢を見ていたかった。
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