くらんべりー

6/35
前へ
/56ページ
次へ
今は少しだけ、その距離は縮まったのかもしれない。 だからと言って、近いとは決して言えない距離。 “遠い人” そう思ってしまうのは、私たちの年が7つ離れているからだろうか。 それなら、この人も? 「アヤちゃん、何か面白いこと喋って」 …絶対思ってない。 「――えぇ」 そんな無理な注目に、露骨に顔を歪めてみせると、煙草を揉み消して口端だけの笑みを作った。 面白い話を聞きたいと言うより、私の反応を見て楽しんでいる感じ。 意地の悪いこの人の名前は。 「ヨウが話せばいいと思うよう」 「なんで?」 「…ちょっと」 「ぶ」 ―――太陽。 初めて遊んだ日、年上を呼び捨てに出来ないと言う理由で“ヨウちゃん”と、なんとも有り勝ちな徒名を付けた。 .
/56ページ

最初のコメントを投稿しよう!

24人が本棚に入れています
本棚に追加