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今日の朝も遠くの国の若い兵士が、ミサイルを撃ったとか、撃たないとか、被害はどれくらいで、そこに日本人が含まれていましたとか、いませんでしたとか、そんなニュースが流れていた。
「わしの若い頃じゃな、そうじゃな、ほれ、あの有名な九十九年戦争の時分じゃ」
またあの長い話か! 僕は雷蔵じいさんのこの話を、確実に九十九回以上聞いてる。
おかげで雷蔵じいさんより上手く粗筋を話す事だってできるさ。
雷蔵じいさんは、戦争へ駆り出された十四の時に、自分のミサイルを誰かに良い様に使われるのが嫌で、とにかくぶっ放した。
ミサイルはそのまま山を貫通して、港町を越え、海を越え、敵国の首都に当たったと。
しかもその時山に出来た穴が、この街と港町を結ぶトンネルになったとさ。ちゃんちゃん。
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