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少し考えていたけれど、
やっと…決めた事がある…
でもアイツの声を聞いてから
それを口に出して言おうと思う。
病院の個室は寒い…。
雪が降っていた
窓からそれが見えた
同時に虚しくなって
白い息を吐いた…。
「雪か…今の俺に何処と無く似てるね…。」
一人で呟いて
笑う
苦笑いだ
そのあと急に涙腺が緩む
そんな時不意に病室に向かう足音が響く…
アイツが来たようだ。
…
「入るぞ?…」
ドアが開く
流れた涙を拭こうとしたとき
アイツが病室に入ってきた
「どうした!?」
目の辺りをこする俺を気にして
入室者…真田弦一郎は少し慌てた様子で声をあげた。
「なんでもない…気にするな。」
俺は満面の笑みを作った
笑えていたのかは分からない
でもそれが精一杯だ。
「聞いたかい?病名…」
唐突に言葉を切り出す
「うむ…。」
「完治するのは難しいらしいね…。」
声も冷めていく
それが現実だ…。
「暫くはテニスも出来ないし…学校にも…。」
「つまらん事を言うな!」
弱弱しい愚痴は、
真田の一喝で掻き消された。
「お前がそんなことを言ってどうする!それでは治るものも治らんぞ!」
…
ああそうだ…
コイツはこういう男だった…。
俺は何を考えていたんだろう…。
「そうだね…まったくお前の言う通りだ。」
少しだけ心が晴れた、
きっと、弦一郎の声を聞いたからだ。
「全く!ここ数日、急に威勢が無くなって何を言い出すかと思えば!」
「何を言うんだい?俺は最初から大人しいじゃないか…フフ…。」
笑いが零れた
あぁ…満たされていく…。
「そうだね…じゃあここは俺より飛び切り威勢のいい
お前に部長を任せようと思うんだけど。」
「ん?」
突然の一言に
弦一郎が聞き返す。
「俺は部活にもほとんど顔を出せないから…
俺が帰るまでの指揮をお前にとってもらおうと思ってね…。」
…
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