†1†

4/4
前へ
/13ページ
次へ
林を歩いて約10分。 暗いし同じ木がいっぱいあって、道に迷いそうだ。 「もー…やだ。戻ろっかな」 地図をくしゃり、と握り締めてもと来た道を戻ろうとした、時だった。 「んぅ…っ!?」 いきなり後ろから腕を取られ、口元にハンカチを抑えられた。 いきなりのことに、攻撃も出来ずジタバタするだけだった。 ギリリと腕を掴まれ、痛みに顔が歪む。 「は、なせよ………っ!」 いつも喧嘩で勝っていた俺なのに、今の相手はびくともしない。 ハンカチについていた薬が効いてきて、逃げる前に俺の目の前はグルグル回っている。 怖くて叫びたいのに、声が全くでなくて。 遠退く意識の中、俺は悪い奴に殺されるのかな、と他人事のように思った。  
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

823人が本棚に入れています
本棚に追加