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林を歩いて約10分。
暗いし同じ木がいっぱいあって、道に迷いそうだ。
「もー…やだ。戻ろっかな」
地図をくしゃり、と握り締めてもと来た道を戻ろうとした、時だった。
「んぅ…っ!?」
いきなり後ろから腕を取られ、口元にハンカチを抑えられた。
いきなりのことに、攻撃も出来ずジタバタするだけだった。
ギリリと腕を掴まれ、痛みに顔が歪む。
「は、なせよ………っ!」
いつも喧嘩で勝っていた俺なのに、今の相手はびくともしない。
ハンカチについていた薬が効いてきて、逃げる前に俺の目の前はグルグル回っている。
怖くて叫びたいのに、声が全くでなくて。
遠退く意識の中、俺は悪い奴に殺されるのかな、と他人事のように思った。
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