2人が本棚に入れています
本棚に追加
「……何故、止める?お前は俺を殺したいはずだ」
ああ、それはその通り――だけど。
「違う。違うんだ。間違えちゃいけない。これは、俺の手でやらなきゃいけないことだから」
そう、これは俺の問題。
たとえなんであろうと、他のモノの手を借りて良い道理はないし、何より――
「ふん、そうか、そう言うことか」
俺の答えに納得したのか、奴は不適な笑いを取り戻しつつ後ろに間合いをとった。
「これで先ほどのお前の異常な強さにも合点がいった。その刀、まだそんな呪いを持っていたとはな。だが――」
すっ、と構えを引き締める奴の目に、冷たい殺気が篭る。
――何より、
――奴は、自分の手でしとめないと、仇を討ったことにならない、だろ。
「――先ほどの好機を逃したこと、貴様はきっと後悔をするだろう」
「…………」
確かに。
この命、捨てたことになるかもしれないな。
でも、
「後悔は、しない」
「ほぅ……」
あいつのためにも、自分のためにも、
「いずれにせよ、お前とはここで決着を付ける」
この勝負は、自分の手で最後まではっきりさせなくちゃいけない。
最初のコメントを投稿しよう!