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「ぐっ……」
左脇腹に斬られた痛み。
体勢が悪いところを撃てば、いけるだろうと思っていたが、甘かったようだ。
奴は、小手を咄嗟に胴に変化させ、抜き撃ちを受け流しつつ攻撃を加えていった。
「ふん。お前の攻撃のネタはそれで終わりか?」
だが、傷はそう深くない。
体中傷だらけで、体力も消耗はしているが、まだやれる。
「言ってろ。……まだまだ、これからだ」
再び青眼に構える。
相手は防御的な下段八相の構え。
「……ち。様子見ってことかよ」
俺はかつて、いろんな流派の道場を渡り歩いて修行していたことがある。
攻撃のネタはいくらでも持っているが、生半可ではこいつには通用しないだろう。
そのことを思いながら、攻撃パターンを練る。
相手は下段八相の構えのままだ。
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