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「っは!」
ざん、と。
斬り下げた右の男が崩れ落ちる。
すぐに正面、背後から襲いかかってくる奴を体を横に回転気味にスライドさせながら凪ぎ払う。
と、先ほど斬り臥せた後ろから更にもう一体。
今度は、突っ込みながらその後ろの奴ごと斬り払った。
「はぁ、はぁっ……!」
と、さっき斬り臥せた奴の腕が俺の足に絡みついていた。
「ちっ!」
足を振って振り払う。からみつく力はそんなに強くはなかった。
この間にも襲ってきた奴を3人は斬り伏せている。
――なんて無様な。
体を真二つにされてもなお足に絡み付き、剣を振る。
俺が相手にしているモノは、人の形であって人でない。
人としての理性や知能もなければ命すらない。
命など、とうの昔におとしたはずの、死したモノ達。
その、生ける屍と化したもの――俗に言う、ゾンビというものに近いだろうか――が、際限なく襲ってくる。
――なんという無様なことだろう。
生ける屍どもは無限に集まり、この場に在る生けるものを、自分達と同じモノにしてしまおうと襲いかかる。
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