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「がっ!?」
あと数歩。
もうあと数歩で彼女の元へたどり着こうというところで、横から激しい衝撃を受けた。
近づいていたものからまた遠ざかる。
でも、その衝撃のおかげで少しは正気に戻れた。
「お前、は――」
顔をあげると、
「まぁ、惜しかったがな。アレも良く粘っていた」
血濡れの剣を持った男が、俺を蹴りとばした体勢のまま立っていた。
体勢を戻して言う。
「滑稽だったものだぞ?最後までお前が来るのを信じていた。お前の気配を感じると、安心した顔でそのまま眠りに落ちていきやがった」
その、剣は。
「もっとも、そうなるように演出したのは俺だがな」
彼女の血で、ぬれているというのか――。
「お前には、これ以上ないってくらいに本気で来てもらなければならないのでね」
無様、な。
結局、今度も、また――。
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