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「くっ……」
体中の防具をはずす。
なんてこと。
やっぱり、正気になんて少しも戻っていなかったようだ。
「どうした?よもや、この場で降伏などすまいな?」
もはや、落ち着いて刀を振れる自信なんて、これっぽっちもない。
「ああ、安心しろ」
それには、重苦しい防具なんて、つけていても邪魔になるだけだった。
「俺は今、お前を斬るためにここにいる」
男は、満足そうに肯いた。
「良い。では、始めようか。生命(イノチ)の獲り合いを」
そんな言葉を、聴いている余裕すらなく駆けだした。
意識は、刀に同化している。
この呪刀は、一刻も早く奴の血をすいたくてうずうずしている。
普段は好ましくないこの感覚だが、今回ばかりは俺も同意見だ。
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