LAST  -The Soul of My Sword-

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「だ……っ!」 再び突っ込む。 でも、今度はもう、途切らさせない。 ――意識は、刀に同化している。 絶え間なく斬りつける。 そのうち、こっちの剣筋が読まれ、捌かれ始める。 ――意識は、刀に、同化している。 単純に斬りつけるスピードを倍化することで、相手の捌くスピードを上回る。 「っ!く、バカ、なっ……!今のお前にこんな――!」 ああ、本当に、どうかしてる。 最初は怒りから奴を殺すつもりで刀を振るっていたと、言うのに。 ――意識が、刀に、同化している、はず、なのに。 刀をもって、奴を斬り刻むこと、そのものに悦びを感じてしまっているなんて。 ――意識が、刀に、同化されてしまっているのか。 なんて、コト。 ――斬れ。 自分の中から、声、が、聞こえる。 ――殺れ。 チガウ。 そうしている間にも俺の刀は敵を圧倒していく。 違う。 ――コロセ。 それは、何かが、違う。 気が付けば、すでに相手を追い詰め。 その首を、刀で―― ――ハネロ。 違う。 一瞬、頭ががフラッシュバックする。 浮かんできたのは、愛しき戦友と、目の前の敵――かつての好敵手の姿だった。 「っ、ちが、うっ!!」 ――止まった。 俺の刀は、俺の手によって、相手の首の寸前で止まっていた。
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