出会い

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 菱木銘(ひしぎめい)は思う。  世界は狭くなった、と。この地球で未開の地は無くなった。余すところなく、全て調べ尽くされ、掘り尽くされた。  大分昔(まえ)に人間は念願の宇宙旅行を可能にするほどの能力(ちから)を得た。それが魔法。  あらゆる土地を調べ尽くし、掘り尽くし、未だ不完全ながらもある程度魔法を解明。夢物語の絵空事を現実の物にした。  大抵の場所は地図の中で示してある。  本の挿し絵にのっている。行ってもないのに行った気になる。知識として知ってしまう。  菱木銘はそんな世界に飽き飽きとしていた。  だからニートになっていた。どうせ僕のコンピューターが全て教えてくれる。そう思って学校にも行かなかった。  1  この世は変化した。“ある程度”解明した魔法のおかげで、生まれながらに魔法を使える者、魔法使いを生み出すことに成功した。  無論全てがそうというわけではない。魔法使いが生まれるのは日本だけで、しかも百万人に一人の確率でしか生まれないのだ。  魔法使いは素晴らしい力であり、危険な因子でもある。なので生まれた魔法使いは、全て日本の、東京という場所に収容される。  そして菱木銘の住むここは、日本の、東京だった。
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