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「本当だ。いつ見ても不思議だよね。校長室がロケットみたいに空を飛ぶなんて。」
窓際に移動した曽根川が、愛流と同じように外を見て言葉を返すと、それに反応した女性が言った。
「あら、誰でも幼い頃から校長室を吹っ飛ばしてみたいという夢はあったでしょう?
私(わたし)はそれを実現しただけよ。」
「いや…!そんなこと思ったことないですけど!
その前に、校長先生自身が吹っ飛ばしちゃっていいんですか!?」
女性の言葉に慌てる曽根川。
「問題ないわよ。遠隔操作で校長室のドアには『校長出張中』のプレートをかけておいたから。」
「そ…そういう問題じゃな…」
「校長舐めないで頂戴。」
曽根川の言葉を遮る鋭い眼光。
「いや…!ナメてませんっ!すみません!」
「心配しなくとも、誰も校長室の壁が全面分厚い二重構造で、内壁でできたこの部屋だけがロケットで外へ飛び出す…なんてわからないわよ。」
この女性…。
つまり、校長先生は校長室を吹っ飛ばした。
「それに外壁は残ったままだから、最上階に残された校長室の扉を開けない限り…他の者に中は空(カラ)だとはバレない。
揺れも軽い地震としか思わないでしょうしね。」
クスリと笑う校長先生に、愛流は「なんかよくわかんないけどすご~い!」と瞳を輝かせた。
これは私たちだけの秘密。
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