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「愛流。私たちは奥の部屋で着替えるわよ。」
「うんっ!校長室って広いもんねっ!」
私と愛流は曽根川を放って奥にある資料室に向かった。
「えっと…僕はどこで着替えようかな…」
服を抱えてキョロキョロ周りを見渡す曽根川に、校長先生は真剣な顔で話しかけた。
とても深刻な様子で。
「ひかる…。あなたそろそろ完成したい?」
二人きりの空間に響く声。
校長先生の真っ直ぐな瞳を受け止めた曽根川は、柔らかく…だけどしっかりした口調で答えた。
「未完成のままでいいですよ。これは運命なんですから。僕にとってはこれで完成なんです。
心配はいりませんよ。」
「そう…。ちょっとは頼もしくなってきたじゃない。」
「はいっ!」
微笑む校長先生に、曽根川が笑顔で返事をした直後だった。
―――バァンッ!
「ちょっと製造者ぁー!」
着替えを終えて、扉の激しい音を立てて資料室から出てきたのは女子二人。
「校長先生とお呼び。」
「こっ…校長…先生!どういうことですの!?これは!」
「何よ玲奈。すごい顔になってるわよ?」
「玲奈ちゃんが怖いよ~!」
背中に白い羽の付いた個性的な服を身につけ、触角を下げて怖がる愛流を睨みつけながら私は想いをぶつけた。
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