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「どうして完成品の私よりも、試作品の愛流の方が大きいのかしら!?」
「え?愛流が一番小さいはずよ?」
製造者…いや、校長先生が答えると、愛流も頷いた。
「そうだよ~!愛流、もっと大きくなりた…」
「身長ではありませんわ…!バストよ!」
「…バストぉっ!?」
触角をピンと立てて驚く愛流と、顔を真っ赤に染める曽根川。
そんな二人を余所に、校長先生はサラッとした態度で答えた。
「あまり大きくても戦闘の邪魔になると思って。」
「邪魔じゃないわよ!今すぐ修理しなさい!愛流よりも大きく!」
「無茶言わないで頂戴。修理費、バカになんないのよ?そのくらいで…」
「『そのくらい』って何よ!?」
「玲奈、この校長先生様に命令する気?」
「うっ…!」
鋭い眼光。こういうところ、どこかチョークを投げてきたあの先生とそっくりだ。
どうしてこうも、この学校にロクな先生がいないのかしら…。
「もうこの話は終わり。純情な男の子が倒れてしまうわ。」
校長先生が曽根川に瞳を向けると、曽根川は湯気が出そうなくらい熱くなって目を回していた。
愛流はそんな曽根川を扇ぎながら「大丈夫?」と語りかけた。
「…男の子のくせに。だらしがない。」
私は軟弱な曽根川に小さく腹を立てた。
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