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「だっ…だって!今日は髪型がイマイチ決まらないんだもんっ!」
愛流は机の上に置いた鏡に映る、唇を尖らせた自分とにらめっこをしながら、ピョンと上を向いて立つ髪の毛を摘んでイジっていた。
愛流の髪は個性的で…頭から一本の毛束が、まるで触角のように生えているのだ。
どうやらそれの調子が悪いらしい。
私には普段とどこが違うのか理解できなかったけれど。
だから私は愛流に…
「はぁ?それは、いつものことでありましょう?」と冷たい視線を送ると、彼女は目を丸くして…
「う!?そんなことないもんっ!ひどいよぉ~!玲菜(れいな)ちゃ~ん…。」と、私の名前を呼びながら触角を下げて泣きそうな目をした。
もしかすると、触角は愛流の心のバロメーターなのかも知れない。
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