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「あはは、てんとう虫じゃない!」
「て、てててててんとう虫だって立派な虫よ!」
舌が上手く回らないのか、噛み噛みだった。
「そうだね」
ひかるはクスリと笑って、てんとう虫を優しく指に乗せる。
これが愛流なら悪戯に玲菜に近付けていただろう。
もちろんひかるはそんな事をしない。
窓を開けて、てんとう虫を外へ逃がした。
「あんたよくあんな生物を触れるわね……」
「てんとう虫くらいならね」
玲菜が恐怖に顔を歪ませ言う。
「てんとう虫くらい誰でも触れるわよ」
愛流は呆れたような顔をして言う。
「むぅ…」
「ま、いいわ。
さっさと教室に戻って終わらせましょ」
愛流がそう言って教室に戻ろうと今来た道を帰ろうとした。
「あれ?
玲菜、テープ貰いに行ったんじゃなかったの?」
「あ……」
玲菜はしまった、というような顔をして立ち止まる。
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