自習に使うのはカード。遊びじゃないよ

3/17
前へ
/17ページ
次へ
「あはは、てんとう虫じゃない!」 「て、てててててんとう虫だって立派な虫よ!」 舌が上手く回らないのか、噛み噛みだった。 「そうだね」 ひかるはクスリと笑って、てんとう虫を優しく指に乗せる。 これが愛流なら悪戯に玲菜に近付けていただろう。 もちろんひかるはそんな事をしない。 窓を開けて、てんとう虫を外へ逃がした。 「あんたよくあんな生物を触れるわね……」 「てんとう虫くらいならね」 玲菜が恐怖に顔を歪ませ言う。 「てんとう虫くらい誰でも触れるわよ」 愛流は呆れたような顔をして言う。 「むぅ…」 「ま、いいわ。 さっさと教室に戻って終わらせましょ」 愛流がそう言って教室に戻ろうと今来た道を帰ろうとした。 「あれ? 玲菜、テープ貰いに行ったんじゃなかったの?」 「あ……」 玲菜はしまった、というような顔をして立ち止まる。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

128人が本棚に入れています
本棚に追加