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舗装されていない道…
冗談を言ったり
笑い合ったりした道…
「椿姉ぇ!」
ふいに名前を呼ばれ振り返れば
そこには疎遠された子供たちがいた。
この街はまだ平和だから
都会で街を荒らされた子供たちがこの街に集められる。
「みんな、これから帰るの?」
蝶と総を置いて子供たちの方へ駆け寄る椿に
子供たちもすぐ椿を囲むように集まる。
「椿は子供に好かれるのに蝶は全然だな。
顔も容姿もそっくりなのに。」
溜め息混じりに総が言うと
蝶も同じように溜め息をつく。
「子供の目は鋭いんだよ。」
見つめる先にいる自分と同じ姿の妹…
違うのは…内面、か。
「椿は根っから優しいからな。
あの笑顔に裏はない…
だから、子供達に好かれるんだろうね。」
俺にはあんな笑顔は作れない。
兄だから…
父さんがいないから…
男の俺が家族守らなきゃ、って思う度に
人を疑うようになって
どこかトゲトゲしくなった。
子供たちが俺に近寄らないのは…
きっと、そのせいだ。
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