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「……椿?」
「母さん…なに?」
立ち上がってドアノブを回して引き
顔だけを廊下に覗かせる。
「蝶はまだ、帰らないの?」
「あ~、迷子の子供探してるから遅くなるんじゃない?」
「あら、迷子の子?」
母さんは誰かしら?
と、首を捻り人差し指を顎に当て考える。
何 か が お か し い
今まで頭の片隅にあった不安や疑問が
あと、少しのきっかけで何かわかる気がするのに
そのきっかけが見つからない。
私も母さんのように考えるポーズをとると
母さんの発した言葉で
頭はすっきりしたが冷や汗が全身を伝った。
「迷子の子なんて聞いてないわよ?
昼間にさっちゃんの死体が街の外で発見されたことぐらいしか情報ないし」
「え?
…………さっちゃんの、死体?」
今、蝶が探しているのはさっちゃんで…
でも、さっちゃんは死体で…
嫌な予感がする。
「あぁ、今日、貴女たち水汲みに行ってたから知らなかったのね。
撃ち殺されてたらしいわよ?」
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