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「……とにかくだ。お前はあんまりふらふら歩き回るんじゃねえ。
いろいろと気がきじゃねえからな」
「……気をつけます」
「……それからだな。昨日の奴らをうろつかせるな」
「昨日の、というと、琥珀達のことですか?」
「そうだ。総司の話の猫、犬、鳥、蛇ってえのは昨日の奴らだろう?」
「……あー、たぶん、そうです。確かめてはいませんけど……」
「総司がお前にちょっかい出したのは聞いた。たぶんそれに対するちょっとした報復なんだろうが。
まあ、やってる事はたいしたもんじゃねえが、重なると変に思うやつも出てくるだろう。現に、山南さんはそう感じてたみたいだしな」
「琥珀達がやった事怒らないんですか?」
「ああ?ああ、あれは総司が大袈裟なだけだ。かわいいもんじゃねえか、あれくらい」
そうか、怒ってないのか土方さん。よかった……
「とにかくだ。あいつらはうろつかせるな。どこからぼろが出るかわかんねえからな」
「わかりました。よく言っときます」
「それから、それこそたいした内容じゃなかったが、永倉達の言っていた事どう思う?
まあ、偶然が重なっただけなんだろうとは思うが」
「……っ!偶然なんじゃないですか!永倉さんも原田さんも勘違いだって言ってましたし」
「……挙動不審だな。
……まあ、今日はもういい。俺も疲れている。そういう事にしておこう。
お前も疲れているだろう。今夜はもう休め」
そう言って土方さんは布団を敷くと、さっさとと横になった。
「……早っ!」
思っていたより怒られなくて拍子抜けしたと同時に、土方さんの優しさを知ることができて、ちょっとびっくりって感じだ。
自然と頬が緩むのを感じながら私も布団に横になった。
「……おやすみなさい、土方さん……
………って!ダメじゃん、私!まだ寝ちゃあ!」
私は慌てて身を起こした。
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