失踪

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数日前、姉が失踪した。 そしてその災難が自分に降りかかってくるとは思ってもいなかった。 決められていた取引先とのお見合い。 そこに、自分が出席することになるなんて。 「絶対無理です!!ばれますって」 「だってしょうがないじゃない。先方はあなたのお姉さんが良いって言ってるんだから」 『あなたのお姉さん』を強調して言う。失踪を責める口調に、何故か自分が悪い事をしてしまったように感じる。 「ばれたらもっと話がこじれるでしょう。素直に話した方が…」 どうしたら弟が姉のふりをしてお見合いに出席できるというのか。顔のつくりは似ていても、僕の方が背だって高いし、女性らしい体つきでもない。絶対ばれる。 「お見合い相手が恋人と失踪したから他の子を連れてきましたなんて…あなたそんなこと言えるの?」 「ですから…誠意をもって対応すれば」 「それよ!!」 びしっと社長の指が顔の前に向けられる。何がそれなのかさっぱりわからない。
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