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いつまでも終わることの無い浮遊感にはもう慣れた。
インクの海に滑り落ちたルウの体は、さほど長く闇に包まれることもなく光の元へ放り出され、投げ出された体を次に襲ったのは、これまでに体験したことの無い豪雨だった。
「う、わっ……!!」
暴風がルウを右へ左へなぎ払い、冷たい雨粒が頬を打つ。
普段ならまともに目なんか開けていられない状態だろうが、ルウは至極落ち着いていた。
それは自分でもわからないほど鮮明に。
しかしそれでも意識は体に素直で今にも取り落としそうになるほど朦朧としていた。
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