第十一章

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ベムラーゼ「我が方は、今だに戦力の回復には時間を要する。ここで諸君に厳命する! 各辺境星系の駐留艦隊及び警備艦隊は、第一級警戒態勢を取って待機せよ。そして、一刻も早く戦力の増強を行うのだ!」 彼は必死である。 ガルマン帝国はいかに総兵力が劣るとは言え、その軍事力は侮れぬものであり、その強さはボラー連邦内部に知れ渡っていた。 そして、これ以上の戦線縮小をさせぬためにも、戦線の兵士には頑張ってもらわねば困るのだ。 緊急会議に幕を下ろした頃、ベムラーゼに直接通信が入った事を知らされる。 驚くことに、ガルマン帝国の指導者であるデスラーであるというのだ。 首脳同士の初のコンタクトを取る事になったのだが、これが自分に対する挑戦状の一種であろうことは予想出来ていた。 通信回線を、自分の作業場に備えられている幾つかのヴィジホンの1つに接続させる。 その画面に映ったのは、長身に金髪といういでたちの男、デスラーの姿があった。 デスラー<ボラー連邦首相とお見受けする。> ベムラーゼ「そうだ。私がボラー連邦首相のベムラーゼだ。貴方がガルマン帝国総統のデスラーだな?」 デスラー<私の名をご存じで安心した。ここで述べさせてもらうが、我がガルマン・ガミラス帝国はこれより、貴国ボラー連邦に対して宣戦を布告させてもらおう。> やはりそういうことか、と内心で舌打ちするベムラーゼであるが、ここで変な癇癪を起こすほどやわではない。 ベムラーゼ「正式に申し出た訳か、デスラー総統。だが先の会戦で勝利したとはいえ、それで勝った気分になった訳ではあるまい。今に痛い目をみるに決まっておるのだぞ。降りるなら今のうちだが?」 デスラー<随分と見くびられたものだね、ベムラーゼ首相。我が祖先であるガルマン民族にむごい仕打ちをした分、私もそれなりの礼をしたいのでね……。> 双方ともに、1歩も引かない姿勢を取っているものの、これ以上の話し合いは時間の無駄であると決めたデスラーとベムラーゼは半ば無理矢理に通信を終わらせた。 相手も相当に、ボラー連邦の足元を見ているのがよくわかった。 やはり、デオル星系会戦の傷具合は無ぬかれていたのだろうが、それも当然だと思わざるをえない。 だがこのまま見くびられているのも、彼のプライドが許せるものではなく、対ガルマン帝国戦線の確立をすべく、再び総参謀長を呼びつけて話を行うのであった。 一方のガルマン帝国でも、早期の軍事増強が行われており、それはボラー連邦よりも早かったと言える。
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