第十二章

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総統府『デスラーパレス』会議室― キーリング「これより会議を始める。まずは戦線報告を……。」 各戦線は全部で4つに分かれており、北部、東部、西部、南部とされている。 何処を基準とするかは難しい判断であるが、ボラー連邦直轄領域の集中する方面を北部としている。 西部方面も、6割近い宙域がボラー連邦の直轄領域とされ、残る4割は属国や無人の恒星系であったりする。 東部方面は3割がボラー連邦直轄領域であるが、残る7割が全て属国の星系が占めており、こちらもやりにくい方面だ。 南部方面は、ボラー連邦とは反対側に位置するということもあり、直轄領域は存在せず、バラバラの独立国家が存在している事が判明した。 キーリング「まずは、北部方面司令アクション提督!」 ガミラス時代より生き抜いて来た軍人であるアクションは、今は方面軍の総司令として活躍している。 だが北部方面は殆どがボラー連邦の直轄領域であり、警戒網も厳重にされているために易々と支配域を広げる事は難しかった。 アクション「ハッ! 我が北部戦線軍は、依然として警戒態勢をとりつつも、敵の動きを追尾しております。」 今だに兵力の増強が間に合わない事もあって、北部方面は常に警戒や哨戒活動を重視している。 本格的な会戦を行った事もあるが、ボラー連邦も必死に防御ラインを固めて通す素振りを見せない。 そこで、デスラーは別の方針を打ち出すように全員に指示していた。 それが、ボラー連邦打倒のための戦略案であり、その内容は簡単にすると次のようなものである。 力を入れるべきは北部方面ではなく、ボラー連邦の力が直接に及んではいない東部方面と南部方面であった。 しかし、あまりに東部方面に集中し過ぎれば、別方面から侵攻されかねない。 そうさせないためにも、北部方面軍には警戒を強化させるだけではなく、なるべくボラー連邦の眼を引き付ける事に専念させたのである。 結果として東部方面軍は順調に進んでおり、これは東部方面司令となったガイデル提督と、彼の指揮下に入った第18機甲師団の活躍によるものだ。 第18機甲師団とは、名称は機甲師団しているが艦隊である事に変わりは無い。 この艦隊を指揮しているのがダゴンであり、その電撃的な攻撃の前に相手は次々と破れていったのである。 無論、相手が属国系統の艦隊であった事も勝利の理由かもしれない。 連携が取れていないなど、致命的なミスを犯していた相手など、ダゴンの前には壁として立ちはだかることも不可能であった。
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