第十二章

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ガイデル「総統、我が配下の第18機甲師団は、間もなくボラ―連邦陣営である、バジウド星系のバース星と戦闘に入ります。」 デスラー「フム。毎度の事ながら、君の戦果は素晴らしい。頼もしい部下もいることだ。負ける事もないであろう。」 ありがとうございます! と例を述べるガイデルであった。 戦線の状況報告と共に出された話題が、今帝国内部へ浸透しつつあるシャルバート教信者たちの事であった。 シャルバート……それはボラー連邦が勢力を拡大させる遥か昔に存在した、強大な軍事国家である。 銀河を治めてしまったという程の大国だったらしいのだが、それはボラー連邦の登場や各星系の反乱等も相まって、力を弱めてしまった。 そして完全に勢力を銀河の図から消え去ってしまったのだが、そのシャルバートを収めていた女王を平和の神として崇める信仰が広まったのだ。 今でもなおその信者たちは絶える事無く広がり、ガルマン帝国でもなくボラー連邦でもない平和を望んでいた。 だがデスラーにしてみればシャルバートという存在は無視しがたいものであり、銀河制覇を目論む彼からしてみれば邪魔な存在だ。 かといって彼は信者を追放したり虐殺したりはしなかった。 過去の自分を鑑みてそうはさせなかったとも言えるのだが、もしそんな事を堂々とすれば国民の関心はたちまちに薄れ、悪くすれば治安の悪化に繋がりかねない。 だからこそ厳しくは規制しなかったのだが、それでも直接妨害行動を取るようであれば、容赦なく捕まえて銃殺にさえ処する準備もあった。 デスラー「そのシャルバート星といのは、所在は以前にして不明なのかね?」 タラン「申し訳ありません。偵察隊は全力を挙げて捜索しているのですが……。」 もう1つ、デスラーの狙いがあった。 それはシャルバート星の占領であり、衰退し勢力図から姿を見せなくなったとはいえ、本星はどこかに存在しているはずだ。 デスラーはこの本星を見つけ出すと共に領域として加え、シャルバート星が銀河制覇に使用した強大な軍事力を吸収してしまおうと考えていた。 これが叶えばボラー連邦をさらに追い込むことが可能となるばかりか、無敵とさえいえるのではないか? だがその逆のことも考えねばならない。 もしもボラー連邦がシャルバート星を奪取してしまったら、ガルマン帝国にとって大きな障害と化して、恐るべき軍事兵器が牙を剥けてくるに違いない。
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