第十二章

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デスラー「タラン、そう気を落とすこともあるまい。依然として発見されていないのは、ボラーとて同様だ。奴らの動向を注視しつつ、先に見つけるのだ。」 タラン「はっ!」 タランは陳謝するもののデスラーは咎めることはなかった。 彼はガミラス帝国よりの生き残りであり、デスラーの片腕として支えてきた人物であるが故に、デスラーも無理には言わない。 それよりも肝心なのは、もうすぐ開始されるというバース星艦隊との決戦である。 ガイデルの指揮下にあるダゴンは、デスラーも良く知る軍人の1人であり期待もしていた。 バース星はオリオン湾方面に位置するボラー連邦の属国だが、軍備も今まで以上に強大な規模を誇ると言われている。 先日の大会戦で大敗を喫したとはいえ、ボラー連邦もまた軍備拡張に向けているようだった。 同時にこの敗戦でボラー連邦陣営に属していた国家の数々が揺らいだのも事実であった。 デスラー「ガイデル。」 ガイデル「ハイ!」 デスラー「バース星はボラー配下の勢力では強固な艦隊だ。これを打ち破れれば、我々の銀河 制覇の目標に一歩近づく事になるだろう。」 ガイデル「承知しております。必ずや短期間にてバース星を攻略してまいります。」 自信満々に答えるガイデルに、デスラーは満足そうに頷いた。 方やボラー連邦では……。 ボラー本星― ガルマンとの戦いで大敗を喫したボラー連邦は、今も続くガルマン帝国の進撃に対して歯止めをかけるべく対策を協議していた。 会議室― ベムラーゼ「諸君、ガルマン帝国は、あの屈辱以来さらに勢力を増しつつある。私はこれに何としてでも歯止めをかけ、押し返したいのだが……。」 ベムラーゼの冷徹な目線が他者に降り注ぎ、より一層に幕僚たちは恐れおののいた。 参謀部からの報告で、ボラー連邦の保護国である艦隊が次から次へと敗れているという。 特にオリオン方面の被害は凄まじいもので、残るは主戦力国家のバース星くらいであった。 もしこれが敗れれば、ボラー連邦はさらに窮地へと追い込まれることになる。 ゴルサコフ「閣下。現在、バース星においてもガルマン帝国軍の進撃を食い止めるべく、迎撃態勢を整えつつあります。」 ベムラーゼ「手回しは良いが、勝算はあるのかね?」 バース星には凡そ210隻程の戦闘艦艇を保有している。 そしてそれらを指揮しているのは、バース星軍人のラム司令官であった。
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