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「で、その仁が想ってる人とはどうなの?」
「え、どうって?」
俺の反応に梨紗は呆れたようにため息をついた
「だーかーら、その人とは上手くいってるのかって聞いてるの」
上手く?
「えっと…、分かんない」
「分かんない?付き合ってんじゃないの?」
俺の答えにポカンとしてる梨紗
「付き合ってない」
「告白は?」
「してない」
「え、何でしないのよ?」
何でって言われてもねー
「いや、いろいろと事情があんだよ」
もう、山積みってくらいに
「訳ありなの?」
「まぁ…」
「ふーん」
ここまで言って納得したのか梨紗は運ばれてきたカクテルに口を付けた
「でも、好きだったら告白してあげなさいよ、案外向こうも待ってるかもよ?」
「んー…」
亀に告白
俺が初めて亀に告白をしようとしたときは既に手遅れで
想いだけでも伝えようかと今日まで来たけどそれも出来てない
「時間、ないんだよな…」
「え?」
ここで悩んでても仕方がない
「仁わりぃ、遅くなった お、梨紗ちゃん来たんだ」
「ぴぃ、遅せーよ!!俺帰るからな」
「えっ、ちょっ…仁!?」
なんだかんだで結局店を出たのは10時過ぎ
また、時間を無駄にしちまった
そんなことを頭の片隅で思いながらも俺は亀の居る俺のアパートへと急いだ
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