非日常が日常になり始めた時の話

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「二、ちょっと聞きたいんだが……」 舞崎を土下座させてから数日後、生徒会給湯室管理係活動中。 「ん? なに?」 二はショコラケーキを口に運ぶ手を休める。 「なんで二はデジカメとか持たないんだ?」 舞崎の一件以来疑問に思っていた事を訊いた。 「ほら、携帯のカメラってデジカメに比べて不便じゃん、携帯開いてからカメラモードに切り換える手間もあるし、機種によってはシャッター押してから撮るまでタイムラグもあるし、デジカメなら画質も良いしとっさにとれていいんじゃないか? 舞崎だってデジカメで撮ってるみたいだったし」 まあ、最近の携帯は画質も良いのが出てるらしいけど。 「新聞部ってカメラってイメージがあるから二みたいに携帯で撮るのが意外だったとゆーか、元新聞部らしくないとゆーか……」 変な質問だったかな、と思いながら自分のカップに口をつける。 ちなみに俺と二のカップに入っている紅茶は会議用の紅茶とは別で、家から持ってきたキャラメルマキアートと言う紅茶だ。 紅茶を軸としながらも、香り付け程度のキャラメルチップとコーヒー豆が入っていて、紅茶の風味を残しながらも、甘いキャラメルと香ばしいコーヒーの香りが、俺の中の紅茶の概念を塗り替えた傑作だ。 コーヒー好きの姉と母さんが唯一『良い感じね』と言ってくれた紅茶でもある(それ以外の紅茶は『微妙』の一言で終わってしまう)。 キャラメルマキアートを飲んだ二の感想は『究極的に香りと味が一致してないわね』と、不評(?)だった。なにがいけなかったんだろうか、そこが良いのに……。 ……ものすごい勢いで思考が脱線してるのに気づいたので、思考をカメラの話に切り換え直す。
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