170円と購買部

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「それじゃあこれがお昼代ね」 「うん」 チャリン 俺の手のひらに170円が乗せられた。 「母さん!?」 母さんそっぽを向く、完成度の高い口笛でごまかそうとしている。 「170円で成長期の息子の腹を満たせるとお思いですか!?」 「がんばって!」 「目をそらしたまま言うなよ!」 「だ、だってだってだって! 今持ち合わせそれしかないんだもん!」 「イヤイヤポーズするな! 自分の立場を知れよ!」 「こんにちは、二児の母です」 「立場わかってるじゃねぇーか!」 「この二人がいればお笑い番組はいらないわね」 いつの間にかテーブルでコーヒーを飲む姉がポツリと言った。
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