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二の言う通り、パンの値段は軒並み安かった。
どうやら『全てのパン愛好家に捧げる、パン割引キャンペーン! 実施中!』のおかげだろう。
そのせいでパンのコーナーはものすごい人だかりができていた。
もみくちゃにされながらもアンパン(75円)とポテトサンド(95円)掴んで人混みから脱出した。
ジャスト170円、確かにかなり安い。
「あー、智和さんー」
会計を済ませ、購買部を出たところで、購買部部長の瑞美と会った。
相変わらずどでかい山岳用ザックを苦の顔せず背負っている。
「購買部利用してくれたんですかー、どうもありがとうございますー」
「いや、こっちこそ安く買えてよかった」
右手に持っていたパンを見せながら言う。
「そう言ってもらえるとキャンペーンを企画したかいがありました~」
瑞美が嬉しそうに笑う。
「でも、儲かるのか? この値段設定で」
「全然儲かんないですよ~、むしろパン割引キャンペーンは赤字で~、『料理研究会の女子たちの手作り料理フェア』でどうにか釣り合いをとってるんですよ~、それでも入ったお金は次の仕入れや維持費やアルバイトのバイト代でみんな消えちゃいますねー」
なんともないふうに言ってるが、それは商売としていいのか?
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