170円と購買部

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それから俺と瑞美は喫茶店の事を少し話し合って別れた。 昼休みも終わりに近づいてきたので、パンを食うべく教室に急いだ。 その途中、男子トイレから出てくる山田と合った。 笑顔で元気な山田、その手には空になった弁当が握られていた。 様々な感情が押し寄せいたたまれなくなり『飯食わなきゃいけないから』と言ってその場を去った。 「そうか、俺は授業始まるまでウロウロしてるぜ!」 背中から聞こえる山田の声が痛かった。二恐怖症が早く治るよう心から祈った。 教室に戻ってみると、二は山田の席(つまり俺の席の前)に座り、深紅の携帯を操作していた。 「安かったでしょ?」 席に座ると、二が携帯を閉じ、こちらを向いた。 「ああ、かなり安かった。ありがとな」 二の情報のおかげでたくさんパンが買えたので素直に礼を言う。 「……ところで明日倉」 「なんだ?」 俺は返事をしつつ、アンパンの包装をはがし、口に入れようとする。 「さっき明日倉が購買部の『料理研究会の女子たちの手作り料理フェア(今ならもれなく作った女子の顔写真付き!)』ってコーナーの前で悔しそうにしてたってタレコミメールがきたんだけど……」 俺の動きが止まった。二が深紅の携帯をちらつかせながらニンマリと笑う。 俺は無駄だと知りつつも二に言う言い訳を考えながら、食べようとしていたアンパンを置いた。 昼飯は五時間目の後になりそうだ。
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