2・黒魔女

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まあ、このように軍艦にも航宙機にも様々な用途があるのだ。 ちなみに今この私が乗艦している宇宙母艦の名前は鳳凰型・改『白虎』。鳳凰型を改装した白虎という名前の宇宙母艦である。 新鋭艦ということで上層部からは期待されてはいるが、他の艦から見れば経験が浅いためにお荷物的存在だろう。 ……と、思いながら私が足早に歩いていると、 「曽根川さん?」 という聞き覚えのある若い男性の声が聞こえた。 私を呼んでいる…… 自慢では無いが、私に声をかけてくれるような男性は少ない。 この23年間、ずっと、ずっと……ずっと彼氏がいない私である。 ましてや、私の名前を知る男など…… 「なんだ……赤羽君か……」 と、私は振り向き声の主を見ながらガッカリとした表情とため息混じりの声で呼びかけに応えた。 赤羽……期待させるんじゃねえよ…… 思わず、心の中で思ってしまった。 彼の名前は赤羽……赤羽……何だったかな? 下の名前は忘れた。とにかく赤羽という苗字だ。 同じ会社、『市ヶ谷重工』の同僚で私と全く同じ立場の『タミ』で同じくテストパイロットである。
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