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しかし、私はそれを呼び止めた。
「准尉……先ほどは……すみません……」
謝らずにはいられなかった。
前川准尉は私のせいで危機に晒されたのだ。
前川准尉は私へと振り向かず歩きながら言う。
「私ね……死にたいの。だから、構わないわ。
むしろ、死に場所無くして、ちょっとショックだったかもね。
どうせ、死ぬなら自殺よりも希望のために死にたいと思って軍に志願した……」
前川准尉はこちらに振り返るとニヤリと苦笑して言葉を続けた。
「でも、いまだに死ねないわね」
私に手を振った彼女はそのまま、廊下の奥へと消えていった。
何かを言おうとした私だったが、それを言うことは無かった。
死ぬために戦場へ……か。
私は前川准尉の後を追うようにして廊下を奥へと歩き出す。
とにかく、彼女の言うように体を休めなければ……
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