代走

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 今日はいつもより人が少なかった。  立ち上がっている卓は一卓だけで、座っている人間は一条、しげる、常連客(らしい)船井と古畑だった。  しばらくして、一条の携帯が振動し席を立つハメになる。 「カイジ、悪いが後を頼む。お前の好きに打っていい」 「……お、俺が…?」  よりによって俺か、と心の中で呟きながら代わりに座り、また何事もなく局を終了させようと思っていた矢先の事だった。 「ロン」  カイジの捨てた牌が、古畑のロン牌だった。しかもよりによって満貫に振り込んでしまったのである。  一位だった一条は一気に四位まで落ちた。隣の船井はニヤニヤと笑っている。 「……あー、カイジはんやってもうたなぁ。よりにもよって代走で」  船井の言い分は酷く腹立たしかったが、間違ってはいない。  自分のミスで自分が落ちるなら別になんてことはない。後で這い上がってやればいいのだ。  しかし、コレは他人のもの。うっかりでは済まされないのに。
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