代走

5/5
前へ
/53ページ
次へ
「大丈夫だよ、カイジさん」  俯いていると、対面のしげるが言った。 「一条ならこれくらい挽回してみせる。問題ない」  至極あっさり言い放つものだから、カイジはぽかんとした顔でしげるを見る。  そんなカイジを現実に引き戻したのは、船井の笑い声だった。 「何、夢みたいなこといっとんねん。無理や無理、ビリっけつからどないしよ言うんや」  思わずカイジが睨みつけたとき、椅子の背に力が加わる。後ろには一条がいた。 「ふぅん、なるほど。面白そうな展開じゃないか、カイジ」 「………一条、ゴメン俺…」  二人は席を交代する。 「…まぁ、お前は気に病まなくていい」  そう言って集中する一条。  所在なげに別の席で行く末をみつめていたが。  最終的にはむしりにむしられた古畑と船井がしぶしぶ退店していく姿を見送れて、胸をなで下ろすことができたのだった。
/53ページ

最初のコメントを投稿しよう!

24人が本棚に入れています
本棚に追加