嫌われ者とは何か

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 カイジがこの雀荘を出入りするようになって一ヶ月、常連とも馴染むようになってきた、そんなある日のことだった。  もうすぐ日付も変わる頃、人もまばらになり立っている卓も一つにまで収縮した。  メンバーはしげる、南郷、一条、遠藤である。  カイジは別の卓からイスを引っ張り出し、座って成り行きを見つめている。  すると、いきなりしげるが言った。 「カイジさん、麻雀を打つに当たって、どういうものが嫌われるか知ってる?」 「……いや、よくわからん」  しげるはいきなり何を言い出したのか、カイジは見当がつかずに小首を傾げた。  しげるは迷い無く牌を斬り捨てて言う。 「無駄な長考」  それを受けて、南郷も牌を捨てながら言った。 「テンポを乱すことも嫌われるな」  そして一条、 「リズムを狂わせること」  最後に遠藤も、 「流れを止めること。…結局みんな同じことだ。スムーズに行かないと嫌がられる」  と、手を止めることはない。会話が止むと、牌の捨てられる音が一定に響き、それは乱れることはなかった。 「…流石に、難しいところ切る際は考えたっていいけどな」  南郷が眉根にしわを寄せながら言う。  対面でリーチをかけている遠藤を警戒しているらしい。
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