24人が本棚に入れています
本棚に追加
「あの時なんかあったのか?」
カイジが小首を傾げて言えば、しげるは軽くため息をつく。
「…ほら、カイジさんがツモ和了りしたとき、待ちが③単騎で」
「……あー、スジひっかけがどうのこうの言われたときか」
そんなふうにひっかけるなんて卑怯だなんだと言われた気がする。しかしこのとき、カイジはひっかけるつもりなど一切無く、聴牌したからリーチをかけたまでだった。
「どう打とうが、それは本人の自由でしょ。考え無しの安藤が悪い」
「……いや、結局ツモ和了りだったわけだし」
もう、過ぎたことなんじゃ、と言うカイジの言葉を遮り、しげるは言い放つ。
「初心者のカイジさんが、そこまで考えてひっかけるなんて器用な真似ができるとは思えない」
「……そこまではっきり言っちゃう?」
確かに考え無しで、聴牌したらリーチくらいしか考えていなかったのは事実だ。
「何より、安藤のあの言い分が腹立たしかった。だからさ」
そう言ってしげるが人の悪い笑みを見せる。
こんな笑顔を見せるときは、決まってロクな事ではない、カイジはそう学んでいた。
「代走頼まれたときに、わざと南郷さんの役満に振り込んでおいた」
(この悪魔がっ……!!)
カイジからはそれしか出てこなかった。
最初のコメントを投稿しよう!