勝負の前に

2/4
前へ
/53ページ
次へ
 カイジが連れてこられた場所、そこは一件の雀荘だった。しげるは常連なのか、彼らに軽く挨拶し一つの卓につく。 「カイジさん、ここ借りた」 「……教えてくれるのはありがたいけどなぁ…」  渋々彼が席に着くと、スーツを着た男が飲み物を運んでくれる。彼はここのチーフで、一条と名乗った。 「当雀荘は誰でもうウェルカム、ごゆっくりどうぞ」 「……どうも」  カイジは小さく頭を下げて答えると、しげるは、じゃあ始めよっか、と牌をいじり出した。 「……例えば、こう並んでたらどれを切る?」 「…………えーっと」  コレ? と指を差せば、しげるは小首を傾げながら違う牌も指差す。 「うーん、それでも良いけど確実性ではこっちだよ」  気が付けば、三時間は経過していた。
/53ページ

最初のコメントを投稿しよう!

24人が本棚に入れています
本棚に追加